5月26日放送の「TBSレビュー」で金スマが特集された。
―中居正広の金曜日のスマイルたちへ。女性たちに向けて様々なテーマを独自の視点で紹介していく情報教養バラエティです。今年放送開始から19年目に入りました。
金スマについて視聴者の街頭インタビュー
「なんかそこの番組で初みたいな感じでやるじゃないですか。だからついついあ、見とこうかなってのはありますよね」
「なんかみんなが聞きづらいけど知りたいことが知れるような番組かな」
「いつもちょっと笑ったりとかそういう中に、ああいう真剣な感じで中居くんのちょっと違う一面も見れたりして、ああいうのはああいうのでよかったなと思いましたけど」
「この人だと話していいかなという感じとか、なんか素直に話せる雰囲気を中居さん作ってるかなっていうのがすごく。だから自然と自分の思いとかそういうのが出てくるんだろうなって思いますけどね」
―この番組はなぜ長く支持されてきたのか。その理由や今後の可能性を考えます。
ゲストは上智大学新聞学科教授の音好宏さんと金スマプロデューサーの帯純也さん。
―この番組が主に女性たちから支持されてきた理由は?
音教授:中居さんがすごい親しみやすくて、中居さんを中心にしたこのスタジオの雰囲気がいい空気を出しているんだと思いますね。じっくり語ってそれをスタジオでちゃんと受け止めてくれる、その雰囲気が視聴者に非常にこう上手く伝わっているんではないのかなと思います。
堀ちえみさん回のVTRが流れる。
―この回のテーマはどのようにして実現したか、企画の狙いはどのようなところにあったのか?
帯P:最初に堀さんサイドから、こういった病気になってしまったのでぜひ同じような病を抱える人達の勇気になればということで、番組で発信したいと。ついては、中居さんとは何度も共演されてたことがあったようなので、中居さんであればすごく話しやすいですし、ということでお話しをいただきました。ただあの、非常にシリアスなテーマですので、どこまで我々がこうやればいいのかってすごく悩んだところではあったんですけど、非常に堀さん自身がとにかく強いお気持ちで生きるんだと、それからとにかく同じ病の人達に伝えたいんだという非常にこうはっきりとした意思を持ってらっしゃったので、ことさら我々が何かを演出するというよりは、この思いをきちんと視聴者の方に伝わるように放送することがまず大事なのかなというふうに思っておこなった次第ですね。
音教授:やっぱり堀さんが、自分の事をちゃんとしっかりと語ってそれを受け止めてくれる番組なんだろう、ということでこの金スマを選んだ。いうなれば自分のことに対しての、こうなんでしょう、ある種の寄り添いって言いましょうか、それをやってくれるであろう。ただ、自分自身が視聴者に伝える、自分の病ということを伝えることによって自分は元気を一緒に出してもらいたい、同じような苦しみを持った人達に出してもらいたいというその思いもうまく伝わる空間であるだろう、その事を視聴者もよく理解している。だからこそ、最初に放送されたときにインパクトがすごくありましたけれど、そういう番組になったんだろうなと思います。
堀さん回のVTRの続きがかなり長く流れる。
―このテーマを制作していくために、構成や演出などにどのような努力工夫をしたか
帯P:昔、先輩から教えてもらったんですけど、番組っていうのは必ず人格っていうものがあると。で、金スマにも人格があるとすれば、実は私たちは他にも視聴者の皆さんが興味を引くようなシーンや場面も密着してたんで撮ってはいたんですけど、金スマって番組の人格を考えたときに、果たしてそのそういう興味を引くということだけばっかりを追いかけていいのか?ということがスタッフとの話し合いの中でありましたので、そういった意味であまり煽ることなく、どちらかというと抑制的なそうした方向に、放送を仕上げていくっていうような作業は確かにあったという風に記憶しています。
音教授:やっぱり堀ちえみさんってザ・アイドルといいましょうか、アイドルとしてのオーラが伝わってくるんですね。明日手術っていうときに、堀ちえみさんは最後はアイドルとして歌を歌うっていう。多分痛いんだろうなっていうふうに思いながらも、しっかりと歌うっていうところのそのプロ性みたいなものをすごく感じましたし、アイドルってスポットライトが当たってるからこそアイドルっていうところがあって、その根性って言ったら言葉が悪いかもしれませんけどそれがすごく伝わってきました。それをきっちり本人の言葉で語ってくれて、スタジオがそれを上手く囲むといいましょうか、そういう作り方っていうのが視聴者にやっぱりグサッとくるのかなと思います。
―今後、どのような番組を作っていきたいか?
帯P:どうしても、とかくこういうちょっと印象に残る回のことを取り上げられがちになるんですけれども、やっぱり元々はバラエティ番組でございますので、視聴者の皆さんが笑ったり楽しんでいけるっていうような、そういったものも沢山作っていきたいなというふうに思っております。
―これからの金スマにどのような事を期待するか
音教授:今、帯さん仰ったように、こういうテーマもありますけど、ほんとになんかゲラゲラ笑うようなものもあったりとかして、そういう意味でスタジオが非常にいいんだと思います。一点申し上げると、やっぱりそのゲストを大事にするが故にやっぱりゲスト主導になりがちなところがあって、今のメンバーすごくいいとは思いますけど、やや色んな意見っていいましょうか、コメンテーターのレギュラーの方が、少し違った意見っていうのが出ることによってより見方も拡がる、そういうところがあるのかなと思います。でも非常に、ある種ブランドになっているんだろうなと思いますし、そこが視聴者に支持されているわけですから、それを大事にしていただければなという風に思います。
前にも書いたが、帯Pは以前雑誌のインタで次のように語っていた。
VTR中心の番組と思われがちですが、中居さんの司会力とキャラクターが長く続いてきた秘訣ではないでしょうか。番組自体が中居さんとともに歩むことができた点も大きい。スタート時、中居さんは20代で、「キャバ嬢バレー部」などはじけた企画もやっていました。ですがその後、中居さんが年を重ねるのに合わせ、「認知症」や「女子刑務所」といった社会性のあるテーマから音楽まで扱うようになり、番組の幅が広がってきました。それもご支持いただいている理由の一つではないかと考えています。
19年かけて中居さんとともに成長してきた金スマ。帯Pが言う「番組の人格」にも、中居さんという人間が大きく影響していると思う。視聴者の興味を引きながらも、でもゲストが踏み込んでほしくないところにはあえて踏み込まない、そういう抑制の利いた取り上げ方であるのは見ていて感じるし、だからこそ多くの人が「金スマなら」と言うことで出演してくれるのだろう。そしてちゃんと話を聞いてくれる、話しやすい雰囲気にしてくれるMCへの信頼感もその理由だろう。そんな貴重な番組である金スマがいつまでも続きますように。
音教授が最後に言っていたことは確かに課題であるだろう。「話しやすい」番組であることは、一歩間違えればゲストにとって都合がいいことだけを伝える番組になってしまいかねない。中居さんが知っている相手の時は、中居さんがうまく突っ込んでバランスを取っているけれど。金スマは暴露番組や悪を追及する報道番組ではないので、本人の言い分を伝えるだけでいいのかもしれない。それでも、取り上げる題材によってはあとあと面倒なことになりかねないので、スタッフには事前リサーチを頑張ってほしいと切に思う。
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